開腹手術の合併症



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手術による合併症は、一生続く

ちょうど今日で100日なんですよ

外来から連絡があり、80代の女性がイレウスで入院してくることがわかりました。
名前を聞いてみんな「はいはい。」と納得。
そう、イレウスを何度も繰り返し、何度も入院している女性なのです。

必要なルーチンの検査を済ませて病棟へ上がってきたYさん。
「お世話になります。」
と、もう入院も慣れたものです。

それもそのはず、Yさんは3か月に1度入院しているのです。
正確に言うと、100日。
私は当初、その“3か月ルール”を知らなかったのですが、本人が教えてくれました。

「そろそろだと思って。今日で100日だから。」
そんな理由で入院してくるんですか・・・と、最初は呆れたのですが。
写真を見るとビックリ。
ケロッとしている割に、“しっかり”イレウスです。

写真を読むのが苦手な私でもわかります。
キレイなニボーが写っています。

Sさんはケロッとしているようですが、腹痛と吐き気はあるようで、前日辺りから少し食事を控えめにしていたとのこと。
そしていよいよ今日が100日だし、お腹も痛いし・・・ということで、息子さんに頼んで病院に連れてきてもらったそうです。

Yさんがすごいのはこの100日ルールだけではなく、そこに合うように自分で数日はコントロールできるところ。
そして、入院の日はお風呂に入ってから来ます。

私達としては、できることなら悠長にお風呂に入って来ないで、早いうちに来てよ・・・と思うのですが。
だいたい午後になって、「さて、そろそろ支度しようかしら」となり、息子さんに連絡して病院に来るのは15時。
そして病棟に上がってくるのが16時。

外来も本人も家族も、皆慣れているので、来院したあとは早いです (-“-)

なぜこんなにイレウスに?

さて、イレウスって、人間は一生で何度も起こすものなのでしょうか?
そもそも、こんなに頻繁に、かつ定期的に繰り返すイレウスには、何か理由があるはずですね。

そう、あります。
Yさんは20年以上前に、子宮癌と卵巣癌の手術をしたそうです。
子宮と卵巣を同時に摘出したのか、どちらかの癌が浸潤していたのか、詳細はわかりません。

けれども、Yさんのお腹には大きな傷があります。
それも、水平(横)ではなくて、垂直(縦)の長い傷です。
20年以上経ってもこれだけの傷跡があるのですから、手術は相当大きなものだったでしょう。

そう考えると、腸管の癒着が起こっていても、全然おかしくありません。
また、手術による影響は腸管だけではありません。
排尿に関与する神経も損傷しているため、排尿も自力ではできません。

Yさんは、在宅自己導尿をしています。
セルフカテーテルを持ち帰り、1日に数回、自分で管を使って尿を出しています。
そうしないと尿を出すことができないのです。

尿閉にイレウス、大きな合併症です。
しかし、命を救うためには仕方のないこともあります。
これは、手術ミスとは違い、手術前から予想しうる合併症なのです。

子宮癌のオペ後で多い合併症は、リンパ浮腫も挙げられます。
上半身に対して不釣り合いなほどにむくんでしまった足の人を、見たことがあるでしょうか?
リンパ浮腫も、一生続く問題です。

いくら現代の医学が進歩したとは言え、合併症を全く起こさない、100%安全な手術というものはないんですね。
Yさんはリンパ浮腫はないものの毎日の自己導尿と3か月ごとのイレウスを、生きている限り続けていくことになるのでしょう。

医学は万全ではない。
治せないものも存在する。
Yさんが入院してくるたびに、そう考えさせられてしまいます。