手術しません!!



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治療はしない!!と言い張ったけど

手術適応の癌を、手術しません!?

ここ数年で思うのは、大腸癌が思いのほか多いということ。
胃癌ももちろん多いのですけれど、大腸癌が本当に増えているなあと感じます。

胃カメラなら割とすんなりうけますが、大腸カメラ(CF)は下剤を飲むしお尻を出すしで、検査をするにはちょっと気が引ける。
健康診断でも便潜血しか調べません。
大腸癌の方が胃癌よりも発見が遅れてしまうのは、ある意味当然なのかもしれません。

Uさんは80代の男性。
下血を主訴に来院し、ジギタールで結構な出血を認めました。
また、肛門鏡でのぞいただけで、かなり肛門に近いS状結腸に明らかなできものがあることがわかりました。

早々に予約を組んで、大腸内視鏡カメラ(CF)を行い、腫瘍は生検してきました。
病理結果は初診時の予想通り、S状結腸癌でした。

造影CTなどでも評価をしましたが、この時点ではまだ転移はなく、手術も可能。
80代とはいっても農家をしていたこともあり、UさんはADLも自立しているし、見た目はぴんぴんしているのです。

外科にコンサルトして手術の説明をし、その日のうちから術前検査を組みました。
ところが、何日もかけて外来通院して全ての検査が終わったところで、なんとUさんは手術を拒否したのです。

ええーっ(´゚д゚`)
だって、手術をするための検査だったのですから、手術しないつもりならなぜ受けていたのでしょう?
第一、まだ手術が可能な状態で、このまま放っておいたらどんどん進行・転移していくのです。
そうなったら苦しむことがわかっているのに、どうするつもりでしょうか?

医師も丁寧にムンテラしましたが、がんとしてUさん達一家は治療を拒否しました。
何か宗教にでも入っているのか・・・?とも思いましたが、どうも親戚の人達が反対したということらしいのです。

しかし、高齢といってもUさんはADLの自立している元気な高齢者で、手術をしても十分またもとの生活に戻ることが可能だったのです。
逆に、手術をしなければ腫瘍はどんどん大きくなって腸の内腔を狭くし、イレウスを起こし、最悪の場合消化管穿孔を起こして亡くなってしまうこともあるのです。

治療をしないということは、イレウスで苦しむことが目に見えています。
絶対に、後で困って病院に駆け込んで来ることになります。
繰り返し説明しましたが、遂にUさん一家には聞き入れてもらえませんでした・・・。

ストーマ増設に、「今から手術してくれますか?」

そのまま1年半近く放置したでしょうか。
もともと病院にかかることのなかったUさんなので、本当に病院にかかりませんでした。
そしてある日ふっとやって来て、「便が出ない」というのです。

肛門鏡とジギタールで、腫瘍は明らかに増大しており、内腔がかなり狭くなっていることがわかりました。
もちろんこうなることは1年半前の時点でわかっていたし、何度も説明しました。
ところが家族は、こうなってから「困る」と言い始めたのです。

やっぱり・・・。
1年半前だったら、手術できれいに取り切れたのに。
こうなると思ったんですよ。

便秘といっても、本当に出なければおなかが張って辛いです。
そしてイレウスになれば、嘔吐もします。
Uさんは結局、イレウスを起こして入院しました。

治療はしないと言っていたUさん一家。
しかし、入院してからイレウス管を挿れて、点滴をして・・・苦しむUさんを見て、家族がなんとかしてくれと言って来ました。
それも、便だけ出せるようにしてくれればいいと。

結局、姑息的な手術としてストーマを増設しました。
とりあえずこれで、便は出ますから、イレウスは回避されます。

ストーマの管理は奥さんが覚え、吐き気も腹痛もなくなったUさんは食欲が戻ってきました。
どんどん血色もよくなり、本当に癌なの?というくらいに元気になりました。
そろそろ退院かな?という頃。

奥さんが衝撃的な発言をしました。
「元気になったから、今から手術してもらえませんか?」
ええーっ(´゚д゚`) 
二度目の驚きでした。

さすがにみんな目が点。
医師も呆れてものが言えないという感じでした。

この時点では既に癌は進行しており、転移もありました。
元気になった(ように見えた)のは、ストーマを増設したあとの数か月で、そのあとは徐々に貧血がひどくなり、呼吸困難も生じて来ました。
最終的にUさんはHOTを導入し、麻薬によるペインコントロールをし、亡くなる数日前まで自宅で過ごしました。

手術をして抗癌剤をして、それで苦しんだら何のために治療をしているのかわからない。
そういう考え方もあります。
Uさんは「自然に任せる」という言い方をしていました。

痛みと呼吸苦には対応することにして、積極的治療・根本的治療をしないという選択肢はアリだと思います。
ただし、大腸癌に限って言えば、癌による死を待つ間に便秘が高度になり、イレウスを起こして苦しむことは解りきっています。
Uさんも結局は治療しないといっても、イレウス管を入れたり、ストーマは増設しました。
それにあとから手術を希望する発言をしたことからも、手術をしないという選択肢を後悔しているようでした。

治療を受けるのも受けないのも、患者さんの自由です。
いろいろな生き方があります。
何が正しいかなんて、わかりません。
皆自分の命は1つで1回きりなのですから、正しい選択なんてできないんですよね、きっと。



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