採血中に、となりの患者が落っこちそうになったら?



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採血をとるか、転落阻止をとるか!?

脳外科患者は、待ってくれない

ナースコールが鳴った時、
「はーい、伺いまーす」
「お待ちくださいねー」
よくこんな返答をすることがあると思います。

しかし、そう言ってわかってもらえない人達がいます。
例えば赤ちゃん。
それから、認知症の患者さんやお年寄り。
精神科の患者さん。
そして、脳外科の患者さんです。

脳血管疾患にかかった患者さんは、どうしても意思疎通が難しくなります。
そもそも、ナースコールすら押せない人が多いですね。
そのような患者さんを相手にするときには、こちらが今忙しいとかわかってもらおうとか、そんなことは言えません。

私は1年目に脳外科病棟に勤務していたので、それを痛感しました。

柵が危険な人達

ある深夜勤務の朝、定期の採血をしに患者さんの部屋に行きました。
まだ時間は6時前、ADLの自立している患者さんに起床時刻前に採血に行くことははばかられ、コミュニケーションのとれない寝たきり患者さんの部屋からスタートすることにしたのです。

ベッドのライトだけを付けて採血をしていると、何か影が動いたような・・・
振り返ると、隣の患者さんがベッド柵に足と手をかけています。
まさに乗り越えるところ。
そして、このまま足を引っ掛けて床に転落するのはわかりきっています。

あと少しで採血終わるのに。
しかも、この患者さんの採血難しかったのにーっ!!
どうしよう、あと3mlで終わるんだけど。
このまま採血を続けようという思いもよぎりましたが、もう無理!
この間の私の葛藤・・・多分ほんの数秒だったと思います。

結局採血は途中で中止し、止血確認もできないままとりあえず隣のベッドへ駆け寄りました。
なんとか転落事故を起こさずには済みましたが、また次にいつこうなるかわかりません。
さて、どうしたものか。
深夜のこれからゴールデンタイムという忙しさの時間に、そう頻繁に訪室してその患者さんについていることはできません。

結局、その日一緒に深夜勤務をしている先輩に相談し、今できる対策をとることにしました。
まずベッドを一番下まで下ろしました。
そして、空いているベッドからマットレスを運んで来て、ベッドの横に敷きました。
柵を2本していたうち足元の1本を外しました。

柵をして乗り越え転落した場合、柵の分高いところからの転落になります。
一方、柵を外しておけば、ベッドの高さ分の転落事故で済みますからね。
本人も、わざわざ柵を乗り越えなくても外れているところには気づくでしょう。
最後に、取り残した採血を取り直しました・・・。

結果としては、その日の深夜勤務ではそれ以上の危険行動はありませんでした。
(なぜよりにもよって採血の時だったのか・・・(‘Д’) )

採血か転落阻止か・・・私には究極の選択でしたけれど、とてもいい経験でしたね。
あそこでもし残り3mlにこだわって採血を続けていたら(葛藤の末反対の選択をしていたら)、恐らく隣のベッドの患者さんは大けがをしていたことでしょう。
とくにその患者さんはまだ50代の脳出血患者さんで、元とび職。とてもガタイが良かったので、柵から落ちたら私が1人で受け止めることは不可能。
まさに、危機一髪というところでした・・・。

言葉に頼ってはいけないし、できる対応をすることが大切なのです。
これも、危機管理能力になるのでしょうね。