目的・エビデンスを考えて行動すれば、こんな過ち起こさない



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ドレナージの意味を考えろっ!

胸腔ドレナージのウォーターシール、水がなくなると・・・?

気胸や胸水の貯留した患者さんに、胸腔ドレナージを挿入することがありますね。
胸腔ドレナージは、原理としては3つの部屋の圧が関係しているのですが・・・そんな難しいことはおいといて。

とにかく、廃液部分と水封(ウォーターシール)部分。
ここが私達看護師の観察部分になります。

気胸の患者さんの場合、ウォーターシールの部分に、時々ボコッボコッと空気の泡が出て来ます。
これが、脱気。
つまり、胸腔に入り込んでいた空気が出てきたということ。
これを続けることで、空気で押されてぺちゃんこになっていた肺が、段々広がって来るのです。

廃液部分は、気胸の患者さんの場合貯留することはほとんどありません。
しかし、胸水を抜くための胸腔ドレナージであれば、ここに廃液が溜まります。
色や量を観察する必要がありますね。

さて、ここでなぜウォーターシールに水(滅菌蒸留水)を入れる必要があるのでしょうか?

胸水が貯留している場合、管から外気までの間に、自身の胸水が廃液されます。
ですから、自然とウォーターシールになっているワケです。
それでも、もし水が抜けきってドレーン内に水が無くなったらどうなるでしょう?
外気とつながりますね。

気胸の患者さんの場合は、どうでしょうか?
もし水が入っていなかったら、ドレーンを挿入してバッグにつないだ瞬間、外気とつながってしまいます。
空気が抜けていくどころか、逆に外からの陽圧がかかって余計に気胸を悪化させます。
緊張性気胸にでもなれば、ショックを起こすことだってあります。

本来空気を抜くために入れる胸腔ドレナージ。
それが、逆に働く(しかも命に関わる)ことだってあるのです。

なんのためのウォーターシールか、わかってんの!?

私が3年目の時です。
呼吸器内科病棟に在籍していました。
ある気胸の患者さんが、治療効果を判定するために、胸部レントゲン写真に呼ばれました。
低圧持続吸引をかけていた患者さんをウォーターシールにして、車椅子で検査に連れて行こうとナースステーションの前を通りかかったその時。

「ちょっと待った!!」
焦った顏の先輩ナースが出てきて、患者さんを止めました。
「ちょっと!!これ、全然水ないじゃん!!
なんのためのウォーターシールか、わかってんの!?」
そう叫んだのです。

先輩の言う通り。
ウォーターシールの水位がゼロに近い。
かろうじて底を水で覆っているかな・・・程度になっています。

この状況でもし、少しでも検査の時にドレナージバッグを傾けたら、どうなるでしょうか?
外気が入り込んで来ますね。
この患者さんは、わざわざ陰圧をかけて脱気しているのに、危うく気胸を悪化させるところだったのです。

ちょっと通りかかった患者さんのドレナージバッグの水位に気づくなんて、すごい先輩です。
少しずつ蒸発して減っていったのですが、どのスタッフも「自分の勤務帯の間は大丈夫だろう」と思って、入れなかったのです。

手技としては大したことはないのですが、ほんの一手間を惜しんでいたのですね。
でも、ほんの一手間が大事故につながりかねません。
この患者さんは事なきを得ましたが、長くドレーンを入れたままの人では、確かに蒸留水は蒸発して減っていきます。
その時に、どれだけの危険が伴うか・・・私達の考えの甘さを見事に指摘されました。

ほんのちょっと、5分もかからない手技です。
でも、それだけで大きな事故になってしまう。
そもそも、この患者さんは何のためにドレナージをしていたのだろうか?

そう考えたら、減少していく水を放って置いていいハズがない。
私達はなんのために行っているかを考えて行動していなかったのです。

この先輩とは、ほんの半年ほどしか一緒に働くことができませんでした。
家庭の事情で退職したのです。

しかし、ICU経験もあり、大らかで、いつも楽しそうに仕事をしていました。
そして、いつもどこをもっと観察すれば良いのかなど、聞けば必ず教えてくれました。
もっと一緒に働いて、もっと叱って欲しかったですねぇ・・・。

このように、私達が何かしらの看護技術・医療行為を行う際には、「何のために行うのか」「エビデンスはあるのか」といったことを常に考えなくてはいけません。
やりなさいと言われても、逆にやりなさいと言われなくても、自分はこのままの状態にしてよいのか、指示された通りに本当に実施していいのか、常に考えながらやらなければなりません。

胸腔ドレナージを例に挙げましたが、このように目的やエビデンスを考えることは医療事故を防止するためにも必要です。
そして、常に考えることをクセにしてしまうのがよいでしょう。

早速、明日あなたがする行為一つ一つに対し、自分で疑問を投げかけてみましょう。
「本当にこの方法でいいの?」
「本当に、この患者さんでいいの?」
「本当に、指示の通りやっていいの?」
「効果的に実施できた?」
「目的は果たせている?」
「危険はない?」

たくさんの質問を自分に投げかけていく中で、必ずあなたは目的と期待する効果、そしてエビデンスについて考えるはずですよ。
何かをするとき、とにかく一度立ち止まって。
自分に質問してみて。