入院していたのは、看護学校時代の先生だった



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病院では、会いたくなかった・・・

地元に勤めたら、これは当然?

スーパーマーケットのレジで知り合いに合うのって・・・結構嫌ですよね?
本屋なんかもそう。
どんな物を買ってどんな生活水準で暮らしていて、どんなものが趣味かがわかってしまうから。

でも、それ以上に会いたくない場所って、どこだと思います?
そう、病院です。
病院って、健康診断で来たのではない限り、何かしらの病気・もしくは怪しいから検査中というわけです。
近所のクリニックで「風邪ひいたみたいで~」くらいならいいのですが、総合病院の、しかも入院病棟で知り合いと会うのは避けたいものですね。

でも、私のように地元で勤めると、どうしてもこういったことが出てきます。
直接患者さんでなくても、家族だったりね。
そして、同じ患者同士ならまだいいのですが、こちらは医療従事者側。
なぜ入院しているのかも、わかった上です。
その状態で、自分の病棟で知り合いに会うのは、本当に辛いものがあります。

絵に描いたような、幸せ家族なんていない

私が心療内科と呼吸器内科の病棟に勤務していたときのことです。
その時私は、心療内科チームでした。

深夜明けの2連休で、珍しく3日近く間の空いたあとの日勤。
休みの間に入院していた患者さんのところに行くと、ビックリ。
なんと、看護学校時代の先生だったのです。

といっても、学校に属していたのではなくて、近くの大学から非常勤講師として英語の授業に来てくれていた先生でした。
私は本当は英語が得意ではないのですが、専門学校でのクラスメイトの授業態度が惨憺たるもので、普通に予習してから授業に臨む私はとても優秀な生徒だったのです。
当然先生にも認めてもらえるわけで、1年生の間しか授業はありませんでしたが、英語が好きになりました。

その時の先生が、うつろな表情で心療内科に入院していたのです。
そして、ほとんど同じ姿勢で1日中過ごしています。
食事とトイレ以外、常に横になっています。
それが、右を向くか左を向くかの違いくらい。

あのときの先生が、こんな姿になってしまうなんて・・・。
正直、見たくありませんでした。
私の中での先生は、ダンディーで優しい先生。
こんな無表情で、ただベッドで横になっているなんて、先生じゃない・・・。

受け持ちですから、情報収集はしなくてはなりません。
私が授業を受けていた時期には既に奥さんが病気で亡くなっており、その後職場でのストレスが引き金となりうつ病を発症してしまったということでした。

先生のもとへは、2週間の入院期間、誰もお見舞いには来ませんでした。
周囲に伏せていたのかもしれませんし、病名がうつ病では、軽々しくお見舞いもできませんしね。
でも、息子と娘がいたはずなのですが、私は一度も会うことがありませんでした。

そして、最後まで私は「昔お世話になりました」と言えませんでした。
退院は治ったからではなく、恐らく最初から2週間限定だったのだろうと思います。
ぴったり2週間後に、病状はよくなったのかどうかもわからないまま退院しました。

大学の先生なんてしているなら、さぞかししっかりとした生活を送っているのだろうなと思いますよね。
専業主婦の奥さんがいて、子供達がいて・・・。
でも、現実はそうではなかった。
私が教わっていた頃には奥さんを亡くし、子供達ともうまくいってはいなかったようです。

今、私の職場にもいろいろな家庭環境のスタッフが勤務しています。
バツイチどころか、バツニもいます。
未婚の母もいます。

再婚したけれど、再婚相手と息子の折り合いが悪くて悩んでいる人もいます。
母親が首つり自殺しているのを自分が発見したという、心の傷を負っている人もいます。

皆傍から見たら、幸せそうな家族に見えるかもしれません。
でも、病院という場から見ると、本当に絵に描いたような幸せな家族なんて、ないのかもしれません。
皆、何かしらの闇をもって生きているんだなと思うのです。

病院という場は、普段隠している部分に触れる場です。
それに向き合うには、私達はどんな人間性を備えていればよいのでしょうか。
どんな言葉を知っていれば、声をかけられるのでしょうか・・・?