CPRは何歳まで?



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これからの時代の、「家族格差」

97歳、VF・・・どこまで治療するべきか?

医療機関で勤務していると、1か月に数回聞くのが「ハリーコール」。
「コードブルー」や、「CPR」というところもあると思います。

ある日の平和な午後、このハリーコールが鳴りました。
駆けつけてみると、97歳の肺炎患者さんでした。
どうも痰が詰まったようで呼吸停止を起こし、ハリーコールをかけたそうです。

モニター上、波形はVF。
VFの時の治療の基本は除細動とボスミン。
その準備が整うまでは、胸骨圧迫と換気補助。

でも・・・97歳です。
この年齢であること自体が、素晴らしい生命力です。
この患者さんに、除細動をしたり、胸骨圧迫をしたり、挿管をするのか・・・?

ハリーコールというのは、全くその患者さんのことを知らない人間が集まります。
ですから、もちろん駆けつけたらまずはCPR。
ただ、この時はさすがに誰もが躊躇しました。
97歳まで頑張った患者さんに、胸骨圧迫するの?挿管も?

事情を知っている病棟スタッフが、この患者さんは97歳とは言っても、数日前に入院してくるまでは自宅で過ごしていた人で、家族にとても大事にされている人だと言いました。
そして、家族は100歳まで生きることを望んでいる、ということも。

家族の到着はまだでしたが、事前の聞き取り(入院時に、もしものときはどうするかを確認することになっているので)で蘇生を希望するとなっていれば、これは年齢問わずにしなくてはなりません。

胸骨圧迫をして除細動をかけ、ボスミンを投与し、挿管してサーボにつなぎました。
呼吸は戻りませんでしたが、サーボにつないでなんとか持ち越したように思われました。
そして、ハリーコールで集まったスタッフは、それぞれ自分の部署へと戻っていきました。

これからの時代の、CPRとDNR問題

結果として、1時間後にこの患者さんは死亡が確認されました。
しかし、この症例から私はこれからの時代の蘇生は、年齢での判断はできないなと、つくづく思ったのです。

CPR(蘇生)するか、それともDNR(看取り)かは、それまでのADLで大きく左右されるのです。
仮にこの患者さんが寝た切りで、経管栄養をしていて、体位交換もオムツ交換も全介助で、意思疎通もとれない97歳だったら・・・?
家族も、DNRの方針をとっていたのではないでしょうか。

この患者さんは、ADLが比較的自立していた方で、デイサービスを使うくらいで基本的には家族と生活を共にしていました。
そして何よりも、それまでの人となりが、「おじいちゃんには100歳まで生きていて欲しい」と家族に言わせるだけの生き方だったのでしょう。

50代で寝たきりになっても、誰も気に留めてくれる存在のない、孤独な人もいます。
一方で、97歳になっても、まだまだ元気でいて欲しいと願ってもらえる、温かい環境の人もいます。
これからの時代は経済格差だけでなく、こういった「家族格差」も大きくなってくる時代が来るのでしょうね。