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知っている人が、得をする? ~生活保護と傷病手当金は、大違い~

日本のありがたい、公的な救済制度

日本は国民皆保険制度がありますし、福祉だって高齢社会に十分対応しきっているとはいえないまでも、税金で賄われている範囲はかなり広範囲です。
つまり、有難い国に私達は住んでいるんですね。

どうしても仕事ができなくて収入がなければ、生活保護を受けることができます。
現金支給だけでなく、医療は無償で受けられます。
(医療券の発行など、手続きは必要ですけれど。)

1か月の医療費が収入に対して一定の上限を超えると、超えた分は高額療養費として戻ってきます。
それすらも、一時払いをしなくて済むように限度額申請を出しておけば、最初から限度額までの支払いだけになります。

これだけではありません。
仕事を病気で休んだ場合、連続して3日間働けなかったとき、4日目からは傷病手当金が支払われます。
(これももちろん、自分で申請しなければ受け取れません。)
傷病手当金についての詳しい説明は、全国健康保険協会ホームページを参照してください。

こういった公的な救済制度、知っている人は得をするけれど、知らない人はその恩恵にあずかることはできません。
「知っている」ということは、それだけでお金になるのです。

透析患者が、傷病手当金?

Hさん42歳は、原因不明の腎不全で透析導入となった男性です。
奥さんと子供が2人いて、マイホームを建ててまだ数年。
それなのに、人工透析導入となってしまいました。

私の勤務する病院では維持透析を回すだけなので、導入時は近隣の総合病院で治療を受けています。
そのため腎不全に至った経緯ははっきりとわからないのですが、Hさんは月・水・金の週3回、透析で半日を潰してしまう生活になってしまったのです。

40代前半は、働き盛りです。
実際、Hさんはマイホームも購入していましたし、子供にもこれからお金のかかる時期です。
ところがHさん、仕事に行かないのです。

当院も病床数は少ないながらも、夜間透析を行っています。
ですから、昼間仕事をして、透析日のみ早めに退社した人達が、夜間透析に17時頃やって来ます。
そのようにして働き続けている人も、世の中には大勢います。

しかしHさんは、当院で透析を回すようになって3か月以上経ちますが、夜間透析の希望もなければ、仕事にも行きません。
では、マイホームの支払いや日々の生活費はどうしているのでしょうか?

もちろん、奥さんはお勤めに行っています。
しかし、それだけでは足りません。
Hさんは、傷病手当金の申請をしていたのです。

透析の患者さんは、傷病手当金を受け取ることが殆どありません。
続けて休む必要もないし、既に透析にかかる費用は公的補助があり、ほとんどの人が月額1万円の負担で済みます。
ですから、医療費のためではなくて、生活費を稼ぐために仕事をしなくてはなりません。
これは、健常者と同じことです。

ではなぜ、Hさんに傷病手当金が給付されるのでしょうか?
それは、「透析翌日の朝フラフラするため、通勤のための運転も、勤務もできない」というのです。
出勤するための運転、勤務中運転に従事することもできない、代わりの事務作業はない・・・という理由で、傷病手当金の申請を出し続けたのです。

しかし、透析患者さんで傷病手当金で何か月も食いつなぐ人は、今まで例がありませんでした。
生活保護なら、結構例はありますけれどね。

実はHさん、透析に自家用車を運転して来院しています。
透析直後でも、運転をしているわけです。
それも、当院に通い初めてから車を買い替えています。
お伝えしているように、マイホームも持っていますし、家族もいます。

つまり、Hさんは生活保護を申請することはできないのです。
そんなことをしようものなら、家も車も処分して、奥さんや子供達に辛い思いをさせなくてはならないから。

だから、生活保護ではなくて傷病手当金なのです。
仕事もしないで、透析にだけ行けばいい。
周囲も病気だと、怠け者扱いすることもできません。
仮にも1級の身体障害者ですからね。
いやあ、頭いいですねぇ~。

しかし、いつまでもその書類を書くことはできません。
虚偽だった場合には、書類を書いた医師もその方棒を担いだことになります。
数か月たっても働きに行こうとしないため、もう書類は書けないと伝えました。
もちろんHさんにとっては飯のタネですから、ハイハイと返事するはずがありません。

血圧24検!!血圧測定のためだけの入院なんて・・・。

そこで、本当にそんなに透析翌日にまで循環動態に影響が出ているのか、そのデータをとろうということになりました。
でも、自己申告では意味がありません。

本来必要のない入院をしてもらって、「血圧24検」(初めて見ました、こんな指示!!)とし、1時間毎の血圧測定を行うことにしたのです。
これを透析日3日に非透析日も3日間、あわせて6日間の血圧データをとって、本当に仕事に行けないと認められるだけの血圧変動があるのかを、検証しようとなったのです。

結果は想像通り、著しい変化はありませんでした
医師はこれでは自分が傷病手当金の書類を書くだけの理由にならないとして、入院最終日までの日付で最後の書類を書きました。

数か月に及ぶ「こんなんで本当に、税金でお金もらうの?」という、私達の疑問に終止符が打たれました。
確かに、彼は身体障害者です。
透析なくしては、生きていくことはできません。
しかし、日本では勤労の義務が明確にされているのですから、できるところまでは働かなくてはいけないのです。

知っている人は確かに、制度を上手に利用することができます。
しかし、そうやって生きていては、子供達に立派な大人としてのお手本を示すことはできないでしょう。

仕事イヤだなーって時は、私にだってあります。
でも、働けるし、堂々と遊びに行くこともできるのですから、やはり健康で仕事をする方がいいですね。
当然ですけれど。