30代でも心不全!?



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30代で心不全を起こした、驚きの理由

全身パンパン!!水中毒で、心不全

あなたがもし、病棟に勤務していたとして。
外来から、「心不全の入院お願いします」と言われたら、どんな人を想像しますか?

たいていの人が、80代や90代の高齢者をイメージするのではないでしょうか。
しかし、心不全で上がってきた患者さんは、なんと30代の男性でした。

Mさんは息切れと呼吸困難を主訴に、その日に初診で外来を受診した患者さんです。
明らかにこれは・・・とわかる風貌の精神疾患をベースに持っている人でした。
そして、全身がパンパン!

Mさんは足だけでなく、手も顔も全身もはちきれんばかりにパンパンにむくんでいました。
そのせいで心不全を起こし、30代なのに30m先のレントゲン室に行くだけで息があがるほどになってしまったのです。

さて、Mさんは精神疾患がベースにありますが、弁膜症などの心不全を起こしそうな心疾患は、既往にありません。
なのに、なぜあんなにパンパンにむくんでしまったのでしょうか?

それは・・・水中毒。
本当に喉が渇いているのかはわかりませんが、とにかく水が飲みたくて飲みたくてたまらなくなってしまい、しょっちゅう水を飲んでいるというのです。
いくら若くても、1日で何リットルも飲んでいれば、心臓に負担がかかるのは当然です。

付き添って来た父親も、全身のむくみが呼吸困難の原因とわかっていました。
そして、むくみの原因は水を飲み過ぎるからだということも。

しかし、30代男性に70代の父親が腕力で叶うはずありません。
精神科からの処方薬を飲んでいることもあり、常にボーっとしています。
それに、水を飲んではいけないことを理論的に述べたところで、理解できないし、やめられないのです。

親の止めるのもきかず、目を盗んで水を飲むようになり、1日にどのくらい飲んでいるのか想像できなくなりました。
さすがに息切れも出てきてしまい、本人ではなくて、父親が入院での治療を希望して連れてきたのです。

レントゲンを撮ってビックリ。
こんな若い男性なのに、ぱっと見ただけで心胸比が50%を超えているのがわかります。
胸水も少し溜まっています。

入院して水分摂取の管理と、Hrカテ(膀胱留置カテーテル)を挿れて、OUTの量もしっかり図ることにしました。

ところが、陰茎までむくみがひどくてHrカテが入らないのです。
むくんでいる上に包皮がかぶさって、尿道口が見えない・・・。
結局、泌尿器科にコンサルトし、チーマンカテーテルを留置してもらいました。

利尿剤の静注も行い、積極的に身体の外に水を出すことにしました。
利尿剤による反応が出て来ると・・・あっという間にウロバッグがいっぱいです。
気づいたら、ポタポタと下に垂れてしまっていたのです。

1日の尿量が4000mlを超えるので、ウロバッグを各勤務で空けないといけません。
おかげで、利尿は順調に進みました。
利尿促進による電解質のバランスも、採血を行って注意深く見ていきました。

Mさんの安静度は、病棟内のみ。
不思議と病棟の外に出てまで水を飲もうとしなかったので、割とすんなり水の量は減らすことができました。
水飲ませろーっ!!と暴れるかと思っていたので、意外でした。

おかげでむくみはどんどん減り、体重も減少しました。
呼吸困難も改善され、病棟内を自由にフラフラと歩いていても息切れは見られなくなりました。

心不全の極期を脱したら、あとは外来フォローとすることにしました。
ずっと病院に入院させて、水から遠ざけるということはできないからです。
父親は心配そうでしたが、とりあえず退院となりました。

実はこのあと1か月程でまたむくみがひどくなって外来を受診したのですが・・・その後、来院がぱったりと途絶えてしまいました。
どこかの医療機関に入院しているのならよいのですが、診療情報を求める連絡もどこからも入りません。

30代で心不全、理由は水中毒・・・こんなこともあるのですね。