脱走は堂々と!?タクシーで



看護師ノート推奨の転職サイト



見た目は普通のおじいさんですが・・・実は脱走名人です。

ただ帰りたい、その執念がすごい

高齢者の多く入院している病院において問題になるのが、徘徊です。
私の勤務する病院は、急性期病棟もあれば、リハビリ病棟・療養病棟もあります。
そうなると年に数件、脱走騒ぎが起こります。

目を放した隙に、病棟からいなくなってしまうことです。
多くは院内で見つかりますが、極まれに、院外まで歩いて出て行ってしまう人もいます。

病院の服なりパジャマを着ているから、すぐに気づきそうなものですよね?
見かけた地域の住民も、不審に思うはず。
ところがそうではないんですね。

中には、認知症があってもしっかり着替えをして、荷物をまとめて出ていく人もいます。
そうなると、ぱっと見た限りではこの人が病院を抜け出して来た人だとは気づきません。
仮に(ちょっと怪しいなあ)と思ったとしても、間違えたときには“あなたのことを認知症患者さんと勘違いしました”なんて言えませんから、声もかけにくくなってしまいます。

私の勤務先では、ある病棟だけは、エレベーター以外の出入り口に鍵がかかるようになっています。
タッチパネルで暗証番号を入力するので、高齢者には馴染みのない動作です。
エレベーターはナースステーションの目の前に配置してありますから、そこだけ注意していればいいということになります。

それでも、なんとかして脱走してしまう人がいるんですねぇ。

となりの市まで、タクシーで

ある病棟で、認知症の患者さんがいなくなったと大騒ぎになった時がありました。
平日の昼間だったので、私達外来スタッフにもその騒動は伝わってきました。
面会時間だったので人の往来があり、私服に着替えて面会者に紛れてエレベーターに乗ってしまったのではないか、ということでした。

1時間ほどしてから、「見つかったって~」というニュースが届きました。
なんとその患者さん、タクシーで自宅まで帰ったというのです。
びっくりした家族が病院に連絡して、判明しました。
家族にはまた、患者さんを連れてきてもらいました。

患者さんの自宅は隣の市にあり、車で40分以上かかる場所にありました。
しかし、普通に私服(おそらく入院した日の服)を来て、病院前で客待ちしているタクシーをつかまえ、住所を言って連れて行ってもらったそうです。
降りる時には自宅なので、お財布を持っていなくてもタクシーに乗れたのでしょうね。

それに、(この人、1人で大丈夫か?)というラインでも、1人で受診に来る高齢患者さんはたくさんいます。
1人1人病院を抜け出していないか・・・なんて、タクシーのドライバーさんも疑っていたらキリがありませんからね。

この患者さんは、ある意味1人で歩き周らなかったために、事故に合うこともなく保護(帰宅とも言う・・・)されました。
しかし、寒空の中、薄着・はだしのままで徘徊してしまう高齢者もいます。
病院から一歩出れば、車の往来もあります。

今回は無事にすみましたが、これはアクシデントであるとして、医療安全委員会に報告書が提出されました。
正直言って、日勤だって満足な数のスタッフがいないのですから、ずっと見てはいられないというのがこちらの言い分なのですが、入院中の安全管理が至らなかったとなるわけです。

4方のうち3方に鍵をかけていた病棟でさえ、このような離棟・離院騒ぎが年に数回あります。
本当に、家に帰りたいという執念と本能は、すごいものがありますねぇ。