日祝日の受診は、寂しい病?



看護師ノート推奨の転職サイト



いくらしっかりしていても・・・97歳の一人暮らしは無理ってもんです

日祝日の、常連さん

高齢社会を迎え、80歳を過ぎても高齢の夫婦二人で暮らしていることは、珍しくなくなりました。
老老介護というと、高齢の夫婦がお互いを介護することを差していた言葉ですが、こちらでもお伝えしたとおり、息子世代でも既に高齢者=老老介護になって来ました。

私の勤務する病院には、デイサービスや関連の施設があったり、夜間の入院も受けていることから、「年をとって困ったら〇〇病院へ行け」と近隣では言われているようです。
中には、全く関連のない施設のケアマネから勧められたとう人や市外在住の人まで、「ここにくれば面倒見てくれると聞いた」と言って、やってくることもしょっちゅうあります。

確かに関連施設もあるし、グループホームもあります。
デイサービスやリハビリもやっています。
でも、病院はボランティアではありません。
特に民間の医療機関は、収益を上げなければやっていけないのです。

だから、介護に困ったら〇〇病院へ・・・なんて言われても困ります。
リハビリの必要な患者さんであっても入院の期間は決まっていますし、オペ後だって長期入院はできません。
また、1度の入院であの治療もこの治療も・・・とするわけにもいきませんから、一度肺炎で入院して、次はこの病名で転科・転棟してという具合に、入院を引きのばすこともできません。

さて、そんな状況にある当院ですが。
夜間や休日になると、更に社会的入院が増えます。
全ての患者さんを希望通りに入院させてはいませんが、どうしてもこれはね・・・という場合は入院させざるをえません。

そんな夜間・休日来院の「常連」患者さんのOさんは、97歳で独り暮らしをしている女性です。
お上品で、しっかりしていて、認知症もありません。
ADLも自立していますから、本当にすごいものです。

しかし、やはり97歳は97歳です。
足腰は弱っていますから、ADLが自立しているとは言っても、動作は緩慢。
杖をついて歩きますから、荷物は小さな手さげバックかリュックサックしか持てません。

そんな具合ですから、食料品の購入はヘルパーさんに頼んだりしています。
お金に困っているうちではないので、介護保険の限度額を超える分は、自己負担しています。
デイサービスに来ない日にはヘルパーさんを頼んで買い物や食事を作ってもらいます。

そう、この年代はいくらしっかりしていると言っても、食事の支度や家の掃除、ましてや買い物なんて、誰かの助けがないとできない世代なのです。
しかし、Oさんの息子さんは県外で仕事をしています。
もう少しで定年退職だというので、そうしたら戻って来てくれる・・・ということなのですが。

そう言って既に2年は経ちますね、私が覚えている限りでは。
そして、ヘルパーさんも来ないし、デイサービスもお休みの日曜日と祝日に、Oさんの受診率が高いのです。
休日ですから、時間外診療です。
しかし、医療費自体は1割負担ですし、Oさんはお金に困っていないので時間外加算も気になりません。

「なんかドキドキするのよ。」
「なんか、胸が重苦しくて。」
「眩暈がするみたいで・・・。」

こんな具合で、タクシーで受診されます。
Af(心房細動)もあり、ワーファリンを内服しています。
確かに、頻脈性の心房細動になることもあるのですが、本当に今日なったのか不明・・・。
そんな具合で受診されるのですが、さすがに調子が悪いという97歳の高齢者を、独り暮らしの家に帰すわけに行きません。

心電図検査や画像検査もしますが、まあこれといったものは見つかりません。
それに、見つかったとしても、どう手を出したらよいでしょう?
家族との連絡もつきません。

Oさんはたいてい、週末を病院で過ごしたあとは「もういいみたいよ。そろそろ帰ろうかしら。」と言って、退院を希望します。
結局1泊か2泊して、帰っていくのです。

これってね、家に誰かがいれば、必要のない入院なのではないかと思うのです。
本人も「そろそろお迎えが来ないかなあって、待っているのよ。」と言うくらいですし、病気を治して欲しいというのではなくて、不安だから、寂しいから来院するのです。

97歳で自分の身の周りのことができて、認知症もない。
これは本当に素晴らしいことです。
でも、それと独り暮らしができるのは違います。

早く息子さん夫婦が戻って来てあげられないものだろうか・・・。
Oさんが入院するたびに、皆そう思うのですが。
まだ大丈夫、まだなんとかなっている、そう思ってしまうのでしょうか?
同居の話は具体的に進められてはいません。

世の中には、糖尿病や脳梗塞を発症し、60代でも1人での生活が破綻している・事実上できない男性もいます。
かと思えば、その親よりも年の多い人でも、独り暮らしの人もいます。

皆が元気な高齢社会ではなくて、格差のある高齢社会となっているのが、私達の住む日本です。
格差には、ADLの格差もあれば、経済的な格差、人的資源の格差などもあります。
医療機関に勤めるものとして、この差を年々強く感じるようになりましたね・・・。



看護のお仕事