確定診断を恐れて、受診ができない人達 | 【看護師ノート】求人・転職からありがちな疑問までを総まとめ!



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確定診断を恐れて、受診ができない人達

実は8か月も放置してました・・・

40代の女性患者さんが、ある日の夕方、娘さんにつれられて受診しました。
主訴は本日夕方からの嘔気と腹痛。といっても、実際に嘔吐はしていません。
胃腸炎・・・?とはなんか違いそう。

まずは内科医師が診察。
腹部触診にて右下腹部に圧痛(筋性防御あり)を認めたため、アッペの疑いも視野に入れてまずは採血と検尿を行うことに。
採血上はCRP0.5とほとんど炎症反応はなく、若干尿に白血球が混じっていました。しかし、膀胱炎で済ますには吐き気と腹痛がひどい。

うーん、なんでしょうね。

そこで、内科から外科へとコンサルトすることになりました。
外科の医師はまずお腹の診察をして、両側の下腹部に腫瘤が触れることを指摘しました。
特に右側が大きいので、嘔気と腹痛の原因は、まずこの腫瘤によると考えられました。

ではこの腫瘤、なんでしょう?
➀便の塊
➁子宮筋腫
➂卵巣脳腫
➃大腸がん
➄その他

実はこの腫瘤、本人は今年に入ってから気づいていたということです。8か月前からあるとなると、➀はありえません。同じ場所に8か月も便塊があるとは考えにくいですから。
そうなると➁~➃が疑わしいのですが、普通便が昨日出たことを考えると、➃よりは➁➂の可能性が高いかなという推測が立ちました。
採血で腎機能は正常だったので、造影CTに行くことになりました。

CTの結果は、子宮筋腫。しかも多発。
ただし、本当に子宮筋腫とは言い切れません。子宮がんの可能性も十分あります。
CTの読影を待つのと同時進行で、腫瘍マーカーまで出しておくことにしました。
そして、患者さんは本日は一度帰宅し、後日結果説明に来院してもらうことに。そこで正式にギネ疾患であることが確定したら、外科から婦人科へ紹介(当院にはないので)という形をとることになりました。

この患者さん、受診したのは金曜の17時と週末を控えたなんともいい時間・・・。
(8か月も前からのものを、こんな時間にこないでよ~)という思いも頭の片隅にありましたが、嘔気という症状がやっと出て、受診の決意が付いたのでした。

娘さんは全く知らされずに受診に付き添っていましたが、お母さんに癌の可能性があると聞いてビックリ。
一方で、患者さん本人は驚いていません。
「わかっていたんですけど・・・・。病院行かなきゃって。」

わかっていても、受診できない

時には、このように自覚していてもなかなか受診することができない人がいます。認めたくないんですね、自分の病気を。
本当なら早々に治療をしない方が怖いのだけれど、治療以前に診断を受け入れるのが怖いから、受診もできない。
結果として、大事になってから受診するというケースも珍しくありません。

乳癌なら、もうしこりを通り越して尿とりパットを胸に当ててくるような人もいます。そのくらい浸潤がすすんで、進出液と悪臭がすごいのです。
そしてこの患者さんの場合は、画像上いくつもぼこぼこと腫瘤ができた状態でした。
しかし、本人の自覚症状としては若干足がだるいこと、そして今日始まった嘔気と腹痛。
だから、症状が出るまでなかなか受診に踏み切れなかったのです。

このような患者さんが来院されたとき、医療従事者の間では「もっと早く来れば良かったのに。」という話になります。確かにそうです。
しかし、患者さんの前では決して来るのが遅かったとは言ってはいけないと思うんですね。やっとのことで、今日来院したのですから。
今日でも患者さんにとっては頑張って早く来たのかもしれません。

人はそれぞれ価値観も違えば、死生観も違います。
キャパシティも違います。
このような場面に遭遇するたびにやりきれなくなるのですが、この患者さんの結果が癌でなく、子宮筋腫であることを願っています・・・。