ないと出せないの違いは、大きい



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朝まで自尿がありません!?

深夜から朝までの間で、排尿がないのは異常なのか?

脳外科病棟で、私が1年目に体験したことです。
ある日、私が深夜業務についたとき。

深夜勤務の場合、体位交換とオムツ交換は2時・4時・7時の計3回。
一人の男性患者さんが、2時も4時もオムツをチェックしているのに、排尿がありません。
うーん、こういうこともある??と思いながら、7時にはさすがに出るでしょと、様子を観ることにしました。

しかし、その患者さん、私の期待に反して7時の体位交換・オムツ交換時にも排尿がありません。
既に5時から経管栄養が入っており、水分としては夜中でも400mlは入っています。
ところが、排尿がない。

どうしたものか・・・?
とりあえず先輩に相談してみました。
先輩は、「ブラダースキャンしてみたら?」と言いました。
ちょうど2~3週間前に、当院でもブラダースキャンを1台購入したところだったのです。

ブラダースキャンなら、導尿しなくてもおおよその残尿を測ることができます。
患者さんも、私達も苦痛・労力が最低限で済みます。
そうだよね、みてみればいいんだと行ってみると・・・驚くべき結果が!

排尿がないのは、出せないだけだった!

なんと、ブラダースキャンしてみると・・・わからない!!
実際の画面がどうだったのか覚えていないのですが、測定不可という結果でした。
1000ml以上溜まっているということです。

朝の忙しい時間。
もうじき朝食も運ばれてくる時間でしたけれど、とにかく急いで導尿をしました。
なんと尿器1つ分(MAX1200ml)では足りません。
ああ溢れる・・・かろうじてベッドサイドに持っていった膿盆もつかって、出しきることができました。
総量はなんと、1400ml!

先輩に報告したら、なんとも落ち込む言葉をかけてくれました。
「膀胱壁ってさ、一度伸びるともどらないんだよ。
もうこの患者さんは伸びきって、自分では出せなくなるかもねえ。
しっかりおなか観てれば、こんなことにはならなかったのにね。」

いやいや、1400mlの尿が、私の勤務帯だけで溜まったわけではありませんよ。
私は深夜勤務だけなんですもの。
でも、そう考えられるのは今だから。

当時は本当に、「とんでもないことをしてしまった・・・」と、本当にショックで、落ち込みました。
残りの深夜業務をどうこなしたのかも覚えていません。

脳梗塞だったこの患者さんは、神経因性膀胱でおそらく常時残尿が多かったのだと考えられます。
排尿は神経で支配されますから、どうしても神経を損傷する病気に罹ると尿閉に陥ってしまうことがあるんですね。
例えば、脊椎損傷・脳血管疾患・糖尿病・・・。

幸いにも、この患者さんは一度私の勤務帯で間欠導尿を行いましたが、それ以降は順調に尿が出て、カテーテルを留置することもなく済みました。
なぜ私のときだけ尿閉になったのよ・・・と思う気もちもありましたが。
おかげで、私は脳梗塞と尿閉が実体験として結びつきました。

ないのと出せないのでは、大違い。
一歩間違えていたら、せっかく脳梗塞を発症しても助かった命が、腎盂腎炎から敗血症を起こして亡くなる・・・なんてことになっていたかもしれません。

身を持って私に押しえてくれたあの患者さんには、ほんと、感謝です。