腹部症状を訴えたら、触診が基本です!



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腹部症状に触診は、基本中の基本!!

便秘が主訴で来たけれど・・・

80代の女性が、便秘を主訴に来院しました。
といっても、この患者さんは施設に入所中。連れて来たのは家族。日頃の様子をみていないわけです。
施設の職員に便秘がちですと言われ、主訴も便秘と問診票に記入してありました。確かにここ3~4日出ていないようです。
診察をした内科医師は、とりあえず腹単をとるように指示しました。

画像上、イレウスはなさそう・・・ということで、便秘の治療をすることに。
その時になぜこの指示が出たのか、医師の判断は解りかねますが、プロスタルモンF+生食100mlの点滴がオーダーされました。点滴と一緒に採血も。
ただ、外来の常備薬としてはプロスタルモンを置いていないので、私は薬局へもらいに行きました。

その間に他のスタッフが点滴をするために患者さんをベッドに寝かせたところ、「足の付け根が痛い」と訴えたそうです。
看護師が確認してみると、確かに膨れているし、しかも周りがカチカチになっている・・・。
これって、ヘルニア?しかも嵌頓じゃない!?

急いで医師に報告し、外科にコンサルトすることに。
ヘルニア嵌頓と診断されました。しかもいつはまったのか、わかりません。
血流具合を見るために造影腹部CTを撮りましたが、かろうじて血流が保たれていた程度だったそうです。

そうとなったら、緊急オペです。
みなでわーっと準備にかかりました。

腹部症状があっても、触診しない医師

ヘルニア嵌頓と診断されてから1時間もせずに緊急オペを開始、2時間ちょっとで無事に終わりました。
手術室の看護師によると、いつ破れていてもおかしくない状態だったとのことです。

手術が無事に終わってから、患者さんはオペ室の看護師に、
「息子はなんて言ってました?」と聞いて来ました。
「無事に終わって喜んでいましたよ。」と返答したそうです。

ところが患者さん、なんて返してきたと思います?
「ほっほっほ。本当はなんだ、死に損なったか~なんて思ってるんでしょうねぇ。」と笑って言ったそうです。
この話を聞いて、私達外来看護師は、認知症っぽく言われていたけれど、この患者さんしっかりしてるわ・・・と思ったのです。
一見理解度が低いのかと思いきや、そこはただおだやかに笑っているだけ。実はこの患者さん、よーく周りのことも見ていたしレベルはクリアだったのです。

よくよく話を聞いてみると、本人は最近左の鼠径部の痛みと、“腫れ”を感じていたのですが、施設の職員も医師も「気にしなくていい」ととりあってもらえなかったとのことです。(あくまでも本人談ですが、かなり確かだと思いますね。)
そこで、自分で他の病院を受診できるように便秘と腹痛と言って、来院したそうなのです。

患者さんの機転のきいた対応に驚くとともに、この症例は私達の戒めにもなりました。
診察室で私達が医師に指示するわけにはいきませんが、腹部症状を訴えている患者さんの診察時には、「お腹触ります?」くらいの提案はすべきなんだろうな、と。私達の手間がそれで増えることになったとしても、誤った診断を避けることができるかもしれません。
それに対して医師が不要だと言えばそれまでですが、そこで触診して何か異変に気づけばラッキーですから。

この患者さん、訴えに耳をかしてしっかりとお腹(鼠径部の腫れ)を観た看護師に救われたのです。
そのまま、私が医師の指示通りに薬局から持ち帰ったプロスタルモンなんてやっていたら、どうなっていたことでしょう・・・。

腹部症状を訴える患者さんに腹部の触診は、基本中の基本です。ただ、現場では完全介助で移乗する患者さんのお腹を診察するだけで時間をとってしまうので、全ての医師が診ているわけではありません。
でも、現実このような症例もあるのですから、やはり一手間かけてでも、しっかり触診すべきなんですよね。
少なくとも、私達が観ていれば医師に報告することができます。

変な点滴つなぐ前に気づいて良かった。
ほんと、助かってよかった・・・。
ほっと胸をなでおろして、帰宅したのでした。