おひとり様が、病気に罹ったら?



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おひとり様が、病気になったら

黒色便を主訴に来院した男性が、お腹に身に付けていたものは?

最近、独身のまま婚期の過ぎてしまう人が大勢いますね。
(婚期という考え方自体、おかしいのかもしれませんけど)

また、私のように一度は結婚したものの離婚して、そのまま再婚せずにいる人も大勢います。
私には子供が1人いますが、離婚しても子供がいなかったら、独身時代に戻るだけです。

昔のように、いい年しても結婚せずにいることが普通の現代。
そのままおひとり様として生きていく人は、大勢います。

先日、2日前から黒い便が出る、今朝からふらふらするという主訴の61歳の男性が来院されました。
黒色ということは、胃からの出血がまず第一に疑われます。

食事も朝から食べられずにいたということなので、そのまま緊急で胃カメラを行うことに。
カメラの前に、着替えをしてルート確保と採血を行おうとした時のこと。
男性のお腹に、なにかが巻き付けてあります。
タイツ(?)のようなものに入れた四角いものを、腰に結び付けていたのです。

男性はちょっと気まずそう。
気持ちは十分わかりますし、私達としても貴重品は肌身離さず持っていて欲しい。
でも、これから胃カメラという時です。
腹部を締め付けるものは外しておいてもらいたかったので、持参したリュックの中にしまってもらいました。

おそらくこれは現金やカード・通帳の類の貴重品。
通常自宅に置いておくようなものだったのだと思います。
「入院ってなるかと思って・・・。」
と、その患者さんはポツリと言いました。

この方はおひとり様。
兄弟はいるものの、県外のためすぐに助けを呼ぶこともできません。
悩んだ末に、病院に来るときに“もしもの備え”をしてきたのでしょう。

おひとり様は、病院にかかるのも準備が必要

腰に巻き付けるというのは古典的ではありますが、これはおひとり様にとって大事なことです。
もし緊急入院となって、自宅に貴重品を置いたまま長期にわたり家を空けたら、危険です。
また、急に入院となっても誰かが荷物やお金を持って来てくれることがないので、自分がお金を持っている必要があるのです。

本当のところ、病院には貴重品を持って来てもらっては困るのですけれど・・・。
もし私が同じようにおひとり様の状態で入院なら、確かにお金が困らないようにはしたでしょう。

ましてや、何の病気かわからないけれども黒い便が出るし、フラフラして立っていられないし・・・もしかして命に関わる病気かも??
そう思ったとしても不思議ではありません。

昨今こちらで紹介したように、独り暮らしで身寄りのない人のために設立されたNPO法人もできつつあります。
それは、この男性のようにおひとり様で病気になった時、身内がいないのはとても困るという人が多いから成り立つもの。
それだけ、需要があるのです。

フリーターと聞くと20代のイメージがあると思いますが、実際は非正規雇用のまま40代を迎える男性も、たくさんいます。
その不安定な生活が故に、家庭を持つことのできない人も。
20年後、これらの人達が「おひとり様高齢者」になった時、どうなるでしょうか?

既に、好き放題生きてきた60代・70代の方が、兄弟に連れられて病院に来るケースも増えて来ています。
助けてくれる兄弟がいる場合はなんとかなりますが、兄弟が亡くなったり倒れてしまった場合、残された人は遠い親戚の人ばかり。
もともと関わりを持たないようにしてきた人が入院したって、助けてくれないのは当然。

先日のNPO法人スタッフさんに話を聞いたとき、そしてこの黒色便の男性の腹部に巻き付いたものを見たとき、私は「何あれ~っ!」なんて笑えないなと思いました。
これからの時代、入院と言われたところで、保証人になってくれる人も、荷物を持って来てくれる人もいない患者さんは、増えることがわかりきっています。

そうなったとき、病院としての対応も変化が求められるでしょう。
何より、私自身の老後を考えることにもなりました。
私も子供は1人いますが、県外に就職することは十分ありえますから。

元気なうちは、おひとり様は気楽でいい。
時間もお金も、自分の好きなようにできます。

しかし、好きなようにできるから健康管理ができないのか。
逆に、健康管理ができないくらいに酒を呑んだり、好き勝手な生活をしているからおひとり様なのか。

順番はどちらからかわかりませんが、自己管理のできない患者さんはたくさんいるのです。
とくに男性に多いですね、このタイプは。
身なりも汚く、みすぼらしくなりやすい。

糖尿病や高血圧といった生活習慣病に罹っていることが多く、それ故に心血管イベントや脳血管障害が起こりやすい。
でも、助けてくれる人はいない・・・。

おひとり様は、病気になったらどうなるでしょう?
だからこそ、病気にならないように、早期に発見されるように、健康管理には人一倍気をまわすべきなのです。

今幸せな結婚生活を送っている人も、いつおひとり様になるかわかりません。
ですから、日々健康管理・お金の管理はしっかりしておかないとね。