意識障害患者の正体は?鑑別に便利なAIUEO TIPS



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意識レベルの基本は 血糖測定!?

意識障害の評価法、JCSって何だっけ?

意識レベルを評価する手段として、よく使われるのがJapan Coma Scale=JCSです。
ぱっと思い浮かばない人もいることでしょう。使い慣れていないと、数が多いのと少ないのと、どちらが重症なのかも忘れてしまうものです。

JCS を復習しよう

Ⅰ(1桁):刺激しないでも、覚醒している状態
 1-だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない
 2-見当識障害がある
 3-自分の名前、生年月日が言えない

Ⅱ(2桁):刺激すると覚醒する状態(刺激をやめると眠りこむ)
 10-普通のよびかけで用意に開眼する
 20-大きな声または身体をゆさぶると開眼する
 30-痛み刺激を加えつつ、よびかけを繰り返すとかろうじて開眼する

Ⅲ(3桁):刺激しても覚醒しない状態
 100-痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
 200-痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめたりする
 300-痛み刺激に反応しない

JCSは意識レベルと意識内容を同時に評価します。一番の特徴は、点数が高いほど状態が悪いということ。健常者なら0になります。
また、1桁の中には認知症や失語症と間違うことがあるので、注意が必要です。

JCS300は、本当に重症!?

では、あなたが救急外来に所属していたとして、救急隊からのホットラインを受けたとしましょう。
「意識がなく倒れているところを、翌朝家人が発見した患者の受け入れをお願いします!JCSは300です!!」

あなたはこの情報から、今から搬送される患者さんの病態を何だと推測しますか?受け入れる側としては、ある程度の推測をしていないと初動が遅くなりますから、必要な作業です。

JCSが3桁ということは、痛み刺激を与えても目が開かない。さらに、300ということは、振り払うこともできない状態です。
もちろん見当識障害とか、呂律不全とか、麻痺とか、そんなレベルではありませんね。
ということは、これは
脳血管障害!?  → 脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血
虚血性心疾患!? → 心筋梗塞、狭心症
大動脈解離!?  
なんかわからないけど、ショック状態!?

普段は近所のクリニックに通院しており、既往歴も薬歴もわからない患者が意識障害を起こしている。
朝ごはんの時間になっても起きて来ないから、家族が呼びに行ったら患者が倒れていた。
失禁もしており、全く反応がない。

実際に私が受けた救急隊からのホットラインです。
私の勤め先は、救急外来という看板を掲げていても、実質は外来看護師が対応することになっているため、その日も私が普通に外線電話を受けたのです。

さて、その状況を聞いて、私は「頭だ!!」と思いました。しかも、寝ている間の発症だから、発症時間は不明。
おそらく、脳梗塞治療のゴールデンタイムはオーバーしているだろうという予測を立てました。

そして患者が搬送されて来ました。
救急隊から聞いていた通り、全く反応はありません。(呼吸はしていました。)
担当医師もまず頭を疑っていたので、とにかく採血して、頭部CTだけとってすぐに入院病棟へ上げることになりました。

そこで、バイタルをとって、一般的な採血と一緒にルートを確保してCT室へいき頭部CTを撮影。そのまま病棟へ入院しました。
20分ほど後でしょうか。病棟から連絡がありました。
「さっきの患者、血糖17だったよ。」
そう、JCS300で運ばれた患者さんは、低血糖発作だったのです・・・。

意識障害の鑑別にはAIUEO TIPSが基本!!

JCSが3桁という情報に、勝手に思い込んでいた私(達)ですが、確かに
「意識障害の時にはデキスターで血糖を調べろ」
と救急セミナーでも教わりましたっけ・・・。

他にも、救急で意識障害の患者は
“AIUEO TIPS”  アイウエオチップス
と習いました。

初めて聞く人もいるかもしれませんが、これは意識障害を起こしている患者の鑑別をするための覚え方です。
意識障害というのは、本当に今すぐ命に直結するものから、精神的なものまでさまざま。救急外来では、あらゆる病態を念頭におかなくてはなりませんから、このAIUEO TIPSが便利なのです。

意識障害の鑑別、AIUEO TIPS

A:Alcohol(アルコール)
I:Insulin(低血糖)
U:Uremia(尿毒症)
E:Encephalopathy(脳症)
Endocrinopathy(内分泌疾患)
Electrolytes(電解質異常)
O:Oxigen(低酸素)
Opiate(薬物中毒)

T:Trauma(外傷)
Temperature(高・低体温)
I:Infection(感染)
P:Psychiatric(精神疾患)
Porphyria(ポルフィリア)
S:Stroke/SAH(脳血管障害)
Seizure(けいれん重責)
Syncope(失神)
Shock(ショック)

確かに脳血管障害も含まれていますが、しっかり低血糖も含まれていましたね・・・。低血糖と低酸素はすぐに改善が可能ですから、見逃しは許されません。
今回はむしろオーバートリアージだったので(もちろん低血糖も、そのまま放置すれば死に至ります)、ブドウ糖を静注して、念のため一泊入院してから患者は退院しました。

JCSやGCSは便利です。けれども、それだけで判断しては不十分なのです。
意識障害の時には低血糖を頭におくべし、AIUEO TIPSに基づいて判断すべし。
そう反省した症例でした。