申し送りミスは、医療事故につながる



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申し送りは長すぎず、必要なことを確実に。

自分のしたことを送るのが、申し送り

内科に通院している患者さんが、どうもフラフラすると訴えて受診しました。重度の心不全治療の後リハビリを行い、ようやく自宅へ帰ってまだ2週間。
本人はまた入院になっては困る、次に長期入院になったらもう歩けなくなると思っていたため、今回は早めに受診したそうです。

確かに、前回と違って今回はかなり元気そう。93歳ですが、自分でシルバーカーを押して来院しました。
バイタルサインも問題ありません。
念のためととった胸部レントゲン写真でも水は溜まっておらず、採血のついでに200mlの補液を行いました。
医師も「今日は帰すよ」と言っていたので、私達外来スタッフは、採血結果を待たずにメイン終了と同時に抜針しました。

採血の結果、低ナトリウム血症であることが判明。今はまだ歩いていられるけれども、このまま進んでしまうと危険と判断し、やはり入院しようということになりました。

外来で行った分の点滴は、電子カルテ上で指示受け・実施開始・実施終了の全ての処理を、採血結果が出る前に済ませてありました。
私は入院の申し送り用紙に病名・今回の経過と検査した項目、今回は4~5日の予定であることを記載し、入院用のリストバンドを本人に着けて病棟を案内しました。

病棟に上がった時、既に準夜の時間帯に入っていました。落ち着いていた日だったので、日勤スタッフは全員帰宅、準夜のスタッフは夕食の配膳の途中でした。
私が「外来でーす。入院お願いしまーす!!」と言うと、すぐにハイハイと出て来てくれました。
そして私は、自分が書いた申し送り用紙の通りに口頭の申し送りをして、採血結果と一緒に渡して外来へ戻りました。

申し送りの不備で、二重投与

翌日、10時頃のことです。
昨日入院を受けてくれた看護師が、外来にやって来ました。「深夜明けなのに大変ですね、どうしたんですか?」と私は声をかけました。
すると、「ごめん、点滴だぶっちゃった。」と言ったのです。

最初、なんのことかわからなかったのですが、私が外来で行った200mlの補液を、やっていないと思ってもう一度行ってしまったとのことでした。
ネームバンドのバーコードを使わず、手動で行ったために気づかなかったのでした。

さてそこで、なぜ私が出てくるでしょう?実際にミスをしたのは病棟の看護師なのに?
いいえ、私が申し送りをしなかったのです。
外来で行った検査や病名、入院の目安などは伝えましたが、点滴を行ってきたことを伝えていなかったのです。抜針してから上がったこともあり、私もすっかり意識からそれていました。
病棟看護師も、てっきり外来では採血だけを行ったと思ってしまったのでした。

実際に電子カルテの実施済みの画面を確認しなかったこと、バーコードを使用しなかったことの問題点はありますが、私の申し送りがなければ気づかなくても当然です。
しかも抜針されている上に、申し送り用紙にも記載していないのですから。

実施してしまった病棟看護師がインシデントアクシデントレポートを提出してくれたので、深夜の帰りが遅くなっていたのです。
そして、その看護師は私にも追求がかかるから申し訳ないと、わざわざ外来に寄ってくれたのです・・・。
一言も私を責めずに。

私は申し送りをしなかったことに加えて、そのような配慮をしてもらったことに、本当に申し訳なく思いました。
今回は維持液が200ml余分に入っただけでしたが、これがKCLだったら?透析患者に500mlのメインが余分に入っていたら?

申し送りは、長々とするものではありません。
しかし、必要なことはきっちり申し送らなければ、大事故につながります。そのための申し送りです。
そんな基本的なことを再度確認した症例でした。ほんの一言足りないがために事故に発展してしまう、その怖さを皆さんにも承知してもらいたくて、紹介させてもらいました。