患者の訴えと自分の観察、くい違うときどうする?



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自分の目を信じろ!!

患者さんが苦しくないと言えば、それでいいの?

看護は観察で始まる、という言葉を聞いたことはありますか?私が学生の頃は、こんな題名の教科書がありましたね。
そのくらい、観察はとても大切なのです。

しかし、どうしても私達は本人の訴えを重視しがちです。私達自身が気づかなくても、本人が「~と言っています。」と言いがち。
では、本当に本人が自覚していなければそれでいいのでしょうか?
自分で訴えることのできない場合は、どうなるのでしょうか?

私が呼吸器内科の外来診察に付いていたときの症例をご紹介しましょう。
60代の男性が、昨日早朝より咳が出るとの主訴で来院しました。
診察前に様子を観に行くと、元気そうな男性。実際、仕事もしているとのことでした。

SpO2=94%、R=30回/分、チアノーゼはなく、肩を上下させる努力呼吸をしていました。
本人はあくまでも「咳がつらい」と言います。
しかし、どう見ても呼吸状態がよいとは思えませんでした。

確かに、今すぐ呼吸停止するとか挿管が必要というレベルではありません。
でも、SpO2=94%はやはり少し低いし、呼吸回数も多いですよね。
何より、昨日まで仕事をしていた人が廊下の椅子で話をするだけで肩が上がるというのは、どう考えてもおかしい。
しかし、本人は苦しいか尋ねても苦しくないと言い張ります。

ここで看護師はどうするべきでしょうか?
自分が観察した結果は、状態は良くない。
患者は苦しくないと言う。
どれを優先させるべきでしょうか?

私は考えた末、自分の判断を優先させました。
仮に本当に何もなくてオーバートリアージだったとしても、私の考えが足りなかった・判断力がなかったというだけのことですしね。

苦しくなくても気胸!?

結局、私はその患者さんの順番を早めて、診察に入れました。
先生もすぐに重症だ!!という感じにはとらえなかったようですが、やはり普通とは言いがたいようで、まずは検査に行きましょうかというだけで終わりました。

私は胸部単純写真と胸のCT、それから心電図の検査へ車椅子で言ってもらうことにしました。
そしてひとしきり検査を終えて、先生がレントゲンを確認すると・・・
「気胸だ・・・。それも、気道が偏位してる。」

ビックリというより、やっぱりね~というのがホントのところでした。
気胸とはさすがに予想していませんでしたが、何かしらの所見がなければ、あの呼吸状態の説明がつかないと思っていたからです。

患者さんはそのまま緊急入院、トロッカー挿入&低圧持続吸引となりました。
病棟に上がる直前、「いやー、困った。このあと仕事あるんだけど。」
この後に及んでも尚、仕事に行こうとしていました・・・。

以前こちらの症例で、患者さんの訴えを真摯に聴くべきだとお伝えしました。同じ気胸でもこの場合は、患者さんの方が苦しくないと言っていたのです。
どちらも同じ気胸です。
しかし、今回はむしろ患者さんの訴えを真に受けてはいけなかったのです。

患者さんの訴えを傾聴するのは、看護にとって必須です。
しかし、自分が観察して明らかにおかしいと根拠をもって思えたのなら、それを通すことも必要です。

自分の目を信じて行動して良かったなと思った症例でした。
あのまま放置して歩きまわっていたら、緊張性気胸にでもなっていたかもしれません・・・。