35歳、夜間頻尿なんてアリ?



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35歳で夜間頻尿のナゾ

頻尿で泌尿器科を受診した男性

ある男性が、泌尿器科を受診しました。
35歳、主訴は夜間頻尿です。

35歳という年齢で泌尿器科を受診する場合、男性なら尿管結石、女性なら膀胱炎が多いですね。頻尿というと・・・うーん、なんでだろう?
前立腺肥大は加齢に伴って起こるもので、男性ならば避けられないものです。
しかし、35歳で肥大はないでしょう。
そうなると、なんで?心因性?

問診票を見てみると、受付は泌尿器科ですが、他にも「目のかすみ」と「のどが渇く」と書いてあります。
直接問診しようと本人のところへ向かった私は・・・もしや、と思いました。

男性がコンプライアンスの悪そうな、肥満体形だったのです。
問診票の記載もこの男性の字とは思えませんから、恐らくついてきた奥さんが書いたもの。
自分が困って来ているのに、問診票すら書かない肥満男性。

私が立てた予想は、糖尿病。
それもかなりひどい。
泌尿器科ですからまずは検尿を案内しましたが、恐らく糖と蛋白が出ているのではないか、とふみました。

男性は検尿コップを渡すための検査室を案内しただけで不服そう。
病院にきて何も検査もなしに診断できたら、スーパードクターです。この時点で理解度はかなり低いだろうという印象を持ちました。

HbA1c10.2%、TG780mg!!

検尿結果はもちろん糖+です。しかも4+。
幸いなことに、蛋白はまだ出ていませんでした。

しかし、これは明らかに糖尿病。
よく聞いてみると、夜間頻尿が眠れなくて一番困るものの、2時間の映画の中でトイレに3回いかなければならないほど、日中も頻尿だったのです。
正確に言うと、頻尿ではなくて多尿。
身体が頑張って糖を身体から出そうとしていたから、多尿だったのです。
実際、糖も4+出てますしね。

夜間頻尿はまず糖尿病のコントロールをすることが先決ということで、治療はとりあえず見送り。
そのまま内科へコンサルトになりました。

内科ではまず最初に採血を行いましたが・・・予想通り、立派な糖尿病です。
36歳にしてHbA1cが10.2%という結果でした。
HbA1cはNGSP値で6.5%以上を糖尿病としていますから、かなり重症です。

腎機能は正常範囲内にありましたが、これは若いが故にまだ腎の予備力があったおかげ。
その代り、驚くべき数字は肝機能。
GOT・GPT・γ-GTPの全てが3桁。
さらに凄いのが、TGが780mg‼

念のため腹部エコーも行いましたが、立派な脂肪肝。
アルコールは飲まないけれど、普段の飲み物がスポーツドリンク。
典型的なペットボトル症候群でした。
また、食べる量はいつも大人3人分、アイスクリームはホームサイズの箱ごと食べてしまうということでした。

全ての結果は、納得いくものでした。

この患者さんは、残念ながら医師が説明しても全く重症度がピンと来ていません。
夜間頻尿以外に本人が困っていないから、未来の透析のことや虚血性心疾患、脳血管障害の話をされても理解できないのです。
内服からスタートしたこの患者さん、しばらくは2週間に1回の割合で外来通院となりましたが、このままの理解度ではいずれインスリン導入・腎機能悪化の道をたどるでししょう。
ドロップアウトしてもおかしくありません。

最近は大人も子供も、運動する人としない人の差がとても激しいように思いますね。
子供もサッカーや野球・ダンス・水泳など、小さい頃から習い事をしていて、そのまま生活習慣に運動が組み込まれていることがあります。
一方で、全く運動する機会のない子供は、せいぜい学校の体育くらいしか動く機会がありません。学校の体育自体、授業数が減っていますから、全然足りません。

生活習慣というのは、急に変えられないもの。
運動するのが当たり前、むしろ身体を動かさないといられないという人は、出勤時間を利用してでもランニングに励みます。
ところが、全く運動しようという気も起きず、飲み物も食べ物も好き放題という人は、誰か(それが医者でも)に言われたところで治りません。

こんな症例を間の当たりにして、私も最近サボりがちなランニングを強化しなければ・・・と戒めたのであります。