帯状疱疹は水痘ワクチンで予防できるのか



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帯状疱疹の予防接種、お願いします???

帯状疱疹に、ワクチンはあるのか?

ある日、勤務先の外来に電話での問い合わせがありました。
「帯状疱疹の予防接種をお願いしたいのですが・・・。」

帯状疱疹の予防接種??
なんとなく言いたいことはわかるような・・・。
多分、水痘のワクチンのことでしょう。

ただ、自分で帯状疱疹を理解した上で言っているのではなく、誰かの受け売りではないかとも思いました。
そこで、私は患者さんに次の質問をしました。

➀今症状はあるか
➁過去に水痘に罹ったことがあるか

返答は、
➀現在症状はない
➁子供の頃に水痘に罹っている
とのことでした。

ではなぜ、予防接種の話が出てきたのでしょうか?
「テレビで帯状疱疹は怖いって言っていて・・・。予防接種を受けましょうって言っていたので、主人と一緒に打ってもらおうと思って。」

・・・なるほど。

この場合、帯状疱疹の予防のためにワクチンを接種することのメリットはない、と考えました。
しかし、一応薬のことは薬のプロ、つまり薬局に確認した方がいいだろうと思い、一度電話を切って折り返し返事を入れることにしました。

帯状疱疹と水痘の関係

さて、帯状疱疹のワクチンと聞かれて、なぜ私は水痘の罹患について質問したのでしょうか。
また、なぜ水痘ワクチンが帯状疱疹と関係があるのでしょうか。

帯状疱疹というのは、子供の頃に水痘に罹患したことのある人が罹る疾患です。
原因は、水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)の回帰感染によるものです。

回帰感染とは、加齢・疲労・ストレスなどで免疫力の低下したときに、ウイルスが再度活性化して症状を引き起すもの。
水痘・帯状疱疹ウイルスによる帯状疱疹は、高齢者がとくにかかりやすく、重症化しやすいと言われています。

ではこの患者さんの場合は、どうなのでしょうか?
薬局に確認したところ、
「水痘に罹った時点で身体の中にウイルスが入り込んでおり、神経細胞(神経節)で潜伏している可能性が高く、いつ帯状疱疹を発症してもおかしくない」ということでした。
つまり、ワクチンを積極的に勧める根拠(エビデンス)はない、ワケです。

しかし、海外では高齢者の帯状疱疹予防に、水痘ワクチンの接種を勧めるようになっているのは事実で、まだはっきりとした統計や厚労省からの推奨ラインではないものの、接種しても悪くはない、とのことでした。
本当にそういう方法(帯状疱疹予防に、水痘ワクチン接種)があることを知らなかったので、一つ勉強になりました。

また、水痘の抗体があるのと神経細胞にウイルスが潜伏しているのとは、イコールではありません。
抗体は、一度罹患しても時が経つと低下してしまいます。
ですから、子供の頃に罹っていても、水痘にはかかる可能性はあります。

では、ワクチンを接種したらどうか・・・というと、水痘の予防にはなっても、既に体内にウイルスがいるため、帯状疱疹に罹らないとは言えない、とのことでした。

患者さん本人から相談を受けた時、私の頭の中でもぼんやりとではあるものの、水痘と帯状疱疹、それから水痘ワクチンについての関係図は頭の中にありました。
しかし、私達は専門職として答えるのですから、間違ったことを言ってはなりません。

結果的には、ワクチン接種については家族間でもう相談するということで電話は終わりました。
しかし、こうやってテレビで一度流れれば同様の電話がかかって来ることは、充分あり得ます。

一度こうして専門的立場に相談しておくと、次に自分の言葉で説明することができます。
頭の中で解っていることと、一般市民にわかりやすく説明することは別ですからね。
不思議な電話でしたが、いい勉強になりました。



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