仕事における、信条は?



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―1人1人の患者さんに対して、あとで後悔しないように―

熱中症で来院した患者さんの正体

前回、熱傷患者さんの家族に渡したボールペンを、1週間後に返してもらったことを記事にしました(詳しくはこちら)。
外来という場はその場限りで終わってしまう関わりが、1日の業務の大半を占めます。
定期的に通っている患者さんでも、1か月か2か月に数分の関わりしかないことも、珍しくありません。

では、外来での看護は1回きりだから気楽♪と思ってよいのでしょうか?
確かに、クレーマーとの関わりも毎日ではありませんから、病棟勤務よりそういう意味では気が楽かもしれません。
逆に考えると、その時の対応が私という看護師の印象になるわけです。
1度誤解を受けるようなことがあった場合、挽回する場面がないのです。

―1人1人の患者さんに対して、あとで後悔しないように接する―
これは、私が外来勤務をするようになってから心がけていることです。
そして、この心がけを忘れないようにしていてよかった…と思った症例を紹介しましょう。

夏の暑い盛り、その日も、何人も熱中症の症状を訴えて患者さんが来院していました。
その中に、70代の女性が1人いました。
受付から「ベッドに寝たいと言っている患者さんがいる」と言われて、私は受付に迎えに行き、処置室のベッドを案内しました。
名前に覚えがあるような、ないような・・・と引っかかりましたが、思いだせず。

普段はADLも自立していて、うちの病院には定期受診に来ているだけらしいことが、カルテでわかりました。
ところがここ数日の暑さで、注意はしていたものの、熱中症になってしまったようです。
嘔吐もしていて、水分が摂れなくなってしまい来院したと言いました。

バイタルを測定し、その後医師からの診察で、採血と点滴を行うことになりました。
ちょうど私も手が空いていたし、自分がファーストタッチした患者さんだったので、点滴・採血を行いました。
1時間後、採血結果も確認し、残りの点滴を入れたら帰宅してOKの指示が出ました。

しかし、こういう状態の患者さんですから、薬を院外薬局に取りに行くのは大変。
近くの調剤薬局に頼んでベッドサイドまで薬を届けてもらいましょうか、と提案しました。
ご主人が待合にいるとのことでしたから、会計と薬の受け取りは先に済ませてもらうことにし、残りの点滴が終わり次第帰宅できるようにしました。

そして500mlの点滴が1本入り切って、抜針。
ちょうどその時も、私が対応しました。
注意していても熱中症って、なってしまうものなのですよね・・・とにかく無理せず身体を休めてくださいね。
そんな会話をして、送り出しました。

翌日、母から電話がかかって来ました。
「昨日ダンスの先生があんたにお世話になったって。ありがとうって伝えてって言われた。」
私の対応したその患者さん、25年間母がお世話になっている社交ダンスの先生だったのです・・・。

自分の信条を通せば、大丈夫

私自身、そんな対応をしたこともすっかり忘れていたので、最初は「何のこっちゃ?」と思ったのですが、そういえば熱中症で点滴対応した患者さんいたなぁ。
あれが先生だったのか・・・。
聞き覚えのある名前のはずでした。

まずい対応してないかな・・・と、一瞬思いました。
あの時、私は知り合いでもなんでもなく、1人の患者さんとして接していました。
それ自体、当然のことです。

しかし、知り合いだったらまずいと思うのでは、私の対応は一般の患者さんには悪いのか、ということになってしまいますね。
どうだろう?

そこで私は思い返しました。
いやいや、そんなハズはない。
―1人1人の患者さんに対して、あとで後悔しないように接する―
これを守っていれば、大丈夫。

ですから、この患者さん(先生)に対しても、もし失礼なことがあったとしたら、
「いつも母がお世話になっています。」という言葉が欠けたくらい。

実は私、ダンスの先生には会ったことが何度もあるのです。
子供がまだ小さいとき、私の仕事が終わらない時に母のダンスのレッスンに連れて行ってもらっていたので、仕事帰りに迎えに行った時に顏を合わせていたのです。
しかし、熱中症で来院した時にはあまりにも状態が悪く、気づかなかったのです。

図らずも、私がダンスの先生とは知らずにいつも通りの対応をしたことで、母も先生からお礼を言われ、いつもの私の仕事振りがわかったようでした。
性格のキツイ私は、いつも母には言いたい放題言っているので、患者さんとうまくいかないのではないかと思われていたので・・・。

知り合いであろうとなかろうと、患者さんは患者さん。
その時できる限りのことをする。
後で後悔しないように。
それを心に刻んだ症例でした。

仕事をする上で、“看護師としてこうする”という信条、あなたはありますか?
もし今ないのなら、是非作ってみてください。
きっとあなたを助けることになるでしょうし、周囲にまどわされることなくブレない看護ができるようになりますから。