胸痛患者さんの緊急度を判断する



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胸部症状を訴える患者さんが来院した・・・問診をどうとる? PART2

科を判断したらそれで終わり、ではない!! 緊急度を判断せよ

PART1では、胸部症状を訴える患者さんを、何科に分けたらいいのかということについてお話しました。
患者さん本人の訴えに耳を傾けつつ、緊急度があるのかないのかを判断しなくてはいけませんでしたね。

では、ちょっと悩ましい場合。
もしくは、(これは循環器かな~)と思っても、どれくらい緊急性があるのかを判断したい場合の問診のコツをお伝えしたいと思います。

PART1で胸痛を分類する表がありましたね。
これを、胸痛→担当科→疑わしい疾患の順ではなくて、反対からアプローチしていきましょう。

あなたが患者さんのバイタルサインを測定しつつ、問診を聴取します。
もしかしてこれ、ACS(急性冠症候群)?かと思ったら、今度は緊急度を判断する必要があります。

ここでACSについて簡単に説明しておきましょう。
心筋梗塞  :完全に、どこかの冠動脈が詰まっていて、その領域に血液が流れない。
狭心症   :発作時には狭窄する冠動脈があるものの、詰まってはおらず、また流れる。
不安定狭心症:狭心症が一段進んで、いつ心筋梗塞を起こしてもおかしくない状態。

もし狭心症発作であれば、現在が治まっているのならば一刻一秒を争うかというと、そうでもありません。
しかし、不安定狭心症ならばできる限り急いで治療にもっていきたいし、心筋梗塞の場合には他の患者を待たせてでも、急いで心カテにもっていかなくてはなりません。

そして医師に「こういう患者さんがいるのですが」・・・と報告しようにも、どの疾患を疑ってどのくらい緊急なのかがわからなければ、医師には伝わりません。
まあ、単純に言えば怒られますね。
「ちゃんと聞いて来い!!」って。

疑わしい疾患から患者さんの訴えを引きだす方法

では、あなたがもしこの患者さんがACSではないかと思ったら、どのように問診をとって、どのように行動したらよいでしょうか。

胸痛の緊急度チェック

ここでの流れは、まず今落ち着いて話ができる状態なのか、ということから判断していきます。
大丈夫ならば、そのまま待合室の椅子でバイタルサインを測定します。
バイタルサインに大きな異常がない場合、胸痛について具体的に聴取していきます。
ここで大事なのは、緊急度を絞ることです。

胸痛の症状、これを聴く!

・いつ
・何をしている時に起こり
・どのくらいの時間続いたか
・どのくらいの辛さだったか
・冷や汗の有無
・どの場所が痛むのか
・既往歴(特に糖尿病や脳梗塞、脳出血、内視鏡歴)
・内服薬(抗凝固薬の有無や、糖尿病治療の内容、直近の胃薬)

最低限、これを確認しましょう。
例えば、「階段を上ると症状が現れて、2~3分で治まる」のであれば、安静にして検査をすすめていけばよいでしょう。
大事をとって、車椅子で心電図に案内しましょう。

逆に今も痛む、スッキリしないというのならば、ストレッチャーで自分の部署ですぐに、あなたが心電図をとりましょう。
生理検査室に頼んでもよいですが、それに時間がかかるのなら、あなたがぱっととる方が早いでしょう。

狭心症発作を疑うのであれば、「労作時」とか「2~3分」というのがキーワードになりますね。
ですから、この言葉が出て来るかどうか、質問を誘導していくわけです。
これが胸痛に対して反対からアプローチしていく、ということです。

そしてこのあとの問診の内容についてですが、
➀信憑性
➁今後の治療に影響する治療をしていないか

これについての情報を聞きだしておくとベストです。
➀の信憑性というのは、例えば冷や汗(脂汗)をかいたというのなら、かなりACSの可能性が高いです。今起こっているのなら緊急度はMAX!!

➁の今後の治療に影響するかについては、このあともしACSだとして血栓溶解療法を行うことになったとしたら、禁忌の対象になるかを把握しておかなければならないから。
また、糖尿病のある場合には、神経障害によって胸痛をかなり楽に感じていることがあるからです。

医師としては、ここまでの情報がそろっていると、その後の動きが非常にスムーズになります。
でも、注意しなくてはいけないことも。

1人で抱えて、全ての情報を聞き出すまで次に進まない、では困ります。
本当に緊急の場合は、同時進行しなくてはいけないこともあるから。

例えば、心電図をとっている間に、もう一人が家族からお薬手帳を預かって、既往歴を聞きだすことができれば、時間が短縮されますね。
今冷や汗をかいているのに、のんびり待合室で座ったまま話を全て聞き出すのも困ります。
心電図をとりながら、問診を聴取するくらいの同時進行が必要です。

緊急時には、1人ではなく人を呼びましょう。
しかし、緊急かどうかの判断もせずに、ただ「胸痛だって!!」と大騒ぎしたあげく、帯状疱疹だった・・・では困るのです。
心電図をとれば、かならず帯状に広がる水疱に気づくはずですね。

限りある人的資源を有効に使い、待合の中で本当の緊急の患者さんが静かに待っていて、早くしろと怒鳴る患者を優先することのないように、私達は根拠に基づいた判断をしなくてはなりません。
そのために、看護師のとる問診が必要なのです。

そして、問診には無駄なく時間をかけず必要なことを網羅するには技が必要。
上に挙げた「胸痛の症状、これを聴く!!」は、私が経験上考えたものです。

ただ事務的に聴くのではなく、常に緊急度や今患者さんに何が起こっているのかを考えながら、これらの問診をしてみてくださいね。