T波陰性でも正常なんてあるの?



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心電図は、過去と現在でワンセット!

T波陰性でも「大丈夫」なワケ

心電図は、いろいろな形をしています。
正常波形はありますが、それは今まで何も心疾患のなかった人に限ってだけ。
逆に言うと、過去心疾患に罹ったことのある人は、どんなに時が経とうとも、一般にいう“正常波形”にはならないこともあるのです。

今、胸痛を訴えている患者さんが2人いたとしましょう。
(本当に、同時に来たらイヤですけどね。)
2人とも心電図をとったら、T波が陰性でした。
T波の陰性=虚血を疑いますから、一大事!!
二人とも心カテ!?

いやいや、ちょっと待って。
同じT波の陰性でも、これは今起こった虚血でしょうか?
それとも、過去に起こった虚血でしょうか?

患者さんAは、今まで会社の健康診断でとった心電図で、異常を指摘されたことがありません。
ということは、正常波形であったと考えられます。
心疾患だけでなく、既往歴と言えるものは何もありません。
強いて言えばコレステロールが高めで、メタボ気味なのを指摘されたくらい。

もう一人の患者さんBは、5年前に胸痛を起こして救急搬送され、心筋梗塞でステントを留置した患者さんです。
その後も定期フォローを続けていますが、非発作時でもT波はやや陰性。
つまり、Bさんにとってはカテーテル治療後の心電図が“正常”となるのです。

心電図は基本波形はあるものの、それがその人にとっての“正常”ではない、というワケ。
だから、仮にBさんの今とったばかりの心電図でT波が陰性であったとしても、慌てる必要はない=大丈夫、となるのです。

とはいえ、心筋梗塞が2回起こることだってあります。
それも、同じ場所が詰まる、再梗塞の可能性も否定できません。
では、どうしたらいいのでしょうか。

いくら既往歴に心筋梗塞あり、ステント留置しているという情報を得たとしても、それで安心してはいけません。
同じT波陰性といっても、違う誘導部分に所見が出たり、同じ誘導でもT波の陰性が深くなっていたら要注意です。

前回と違う場所で冠動脈の閉塞が起こっているかもしれませんし、ステント留置したところが詰まっているかもしれないからです。
では、どうしたら今起こっている変化をとらえることができるでしょうか?

それは、過去の心電図と比べることです。
Bさんで言えば、心カテ後で症状のない時の心電図を比較対象とします。
その時に同じV₄で同じ程度のT波の陰転があったとしたら、そう焦ることはありません。
しかし、胸痛を訴えていることは事実ですから、トロポニンやGOT・GPTといった採血と一緒に判断しましょう。

胸痛というのは、いろいろな理由で起こります。
胸痛の種類については胸痛の種類を参考にしてくださいね。
もし心疾患の既往のある人がうつ病にかかっていて胸痛を訴えた場合、問題が心臓なのか心なのか、判断に悩みますね。

ですから、まずは全てが緊急であることを想定して動くべき。
その時、心電図を自分でとってその結果を即医師に持っていく・・・まではいいのですが、それだけでは足りませんよ。
必ず過去の心電図と併せて持っていきましょう。

そして、こういった胸痛というイベントのあった時のために、心疾患の既往のある人は、非発作時の心電図を定期的にとっておくことが必要です。
「今何もないのに、何で今日とらなきゃいけないんだ!」という患者さんもいますが、ただ検査代を稼ごうとか、そんな目的はないのです。
これは、いつ何が起こっても慌てないためのものです。

胸痛が起こるたびに心カテを行うことはできません。
それだけ侵襲も大きいですし、人的資源も必要とします。
ですから、すぐにできる判断方法としては、過去の心電図と比べること。

焦っていると、過去の記録の有無を確認することも忘れてしまいます。
看護師が少ない場合は、同時に採血やルート確保等もしなければならず、そこまで手が回らないこともあります。
そんな時は、クラークさんでもいいし、生理検査室の人の頼んでもいいのです。
「過去の心電図ないか、チェックして!!」って。

普段循環器に接していないと、胸痛という言葉に焦るかもしれません。
けれど、心電図は必ず過去・現在のものでワンセットであることを、忘れないでくださいね。