LUTSって?抗コリンって?



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「おしっこの薬ね~」で、済ませてない?

高齢者を悩ませる下部尿路症状、LUTS

泌尿器科というと、癌の人を診ることが多いと思いますか?
医療機関の規模にもよると思うのですが、大学病院を除いて世間一般の泌尿器科は、膀胱癌や前立腺癌などの悪性腫瘍の患者さんよりも、LUTSが圧倒的に多いのが実状。

LUTSというのは、下部尿路症状(Lower Urinary Tract Symptoms)の略です。
尿路というのは、腎臓から尿管までの上部尿路と、膀胱から尿道までの下部尿路に分類されます。
そして、排尿症状の原因として多いのは、下部尿路の方です。

下部尿路には大別すると2つの役割があります。
蓄尿機能:尿を溜める機能   
排尿機能:尿を体外に出す機能

これらの機能がうまく行かないことで、排尿に関する症状が出るのです。
蓄尿症状の主な症状・疾患は、過活動膀胱や夜間頻尿が多く、
排尿症状の主な疾患は、前立腺肥大が大半です。

これを図に表してみると、こうなります。

LUTSの分類と、その症状の図

過活動膀胱・夜間頻尿は男女ともに起こります。
当然ですが、前立腺肥大症は男性にしか起こりません。
ということは、男性の下部尿路症状は蓄尿機能に問題があるのか、それとも排尿機能に問題があるのかを見定めなければなりません。

入院患者さんの持参薬を確認したり、外来通院の患者さんのお薬手帳を見ると、泌尿器科に受診していなくても、LUTSに対する薬を飲んでいることが多々あると思います。
LUTSは泌尿器科独自の問題ではなくて、逆に泌尿器科という響きが嫌で受診を控える人も多く、また命に関わる問題でもないので、他科から「ついでに」処方されることも多いのです。

あなたはその時、「これはウロの薬ね~」で済ませたりしていないでしょうか?
LUTSは、下部尿路症状というくくりになっていますが、全く起こっている問題が違うのです。

LUTSに対し、どんな薬が処方されているか?

前立腺肥大症による排尿障害は、前立腺が大きくなることによって通りにくくなってしまう、機械的な問題です。
一方、夜間頻尿や過活動膀胱は、過度に膀胱筋が収縮する機能的な問題によって起こるもの。

「ああ、おしっこの問題ね」で済ませてしまいがちですが、実は使う薬は全く違います。
前立腺肥大に対する薬は、前立腺を小さくする薬。
一方、夜間頻尿・過活動膀胱に対する薬は、「抗コリン薬」がメインです。

抗コリンというのは、活動性を下げることになります。
つまり、過度に収縮していた膀胱筋をリラックスさせることで、たくさん尿を溜めることができるようにするのです。

さてこの抗コリン薬、尿の回数を減らしてくれるので、患者さんとしては楽になります。
しかし、副作用で困る患者さんも大勢います。
あなたは、抗コリン薬の副作用、知っていますか?

抗コリン薬の副作用

・眼のかすみ
・便秘
・口渇
・立ちくらみ
・尿閉、残尿

ただ「ウロの薬ね~」と思っていてはいけないという理由は、ここにあるのです。
患者さんが抗コリン薬を使っているのなら、便秘に対するケアも必要になるだろうし、もしかしたら夜間の転倒につながるかもしれません。
実際、高齢者にはこれらの症状が出やすいため、症状がせっかく楽になっていても、副作用が強く出たために内服中止・・・ということもあります。

中でも、最後の残尿がクセモノです。
ろくに溜まっていないのにトイレにばかり行っていたのが、回数が減って楽になった~と思ってはいけません。
実は、副作用が強く出てしまって、こんどは尿閉になってしまうこともあるのです。
尿閉になったら、ひどい場合は腎盂腎炎になってしまうこともあります。

また、尿閉とまではいかないけれど残尿が多い・・・という場合には、残った尿の中で感染を起こし、膀胱炎になってしまうこともあるのです。
せっかく頻尿がよくなったと思ったら、今度は膀胱炎で頻尿・・・そして腎盂腎炎!?

泌尿器の症状や薬は、多科からすると地味に見られがち。
でもそこで、看護師であるあなたはもう少し深く考えて欲しいと思います。

この患者さんの症状は何で、どんな作用の薬が出ているのか?
その薬に対する副作用は何で、どんなことに注意して観察したらよいのか?

こんな偉そうなことを言っている私も、かつてはまさに、「これはウロの薬ね~」と軽視していました。
ところが、内科で「ついでに」出した抗コリン薬が、患者さんにどんな影響を起こしているのか・・・ということを最近になって、ようやく考えるようになったわけです。

実際、過活動膀胱と思って泌尿器に初診で受診した80代の女性は、内科で抗コリン薬を処方され、残尿が300mlの状態になっていました。
導尿をしてみたら案の定、白血球がたくさん出ており、立派な膀胱炎になっていました。

抗生剤を処方して帰宅としましたが、その後もLUTSによる蓄尿症状の管理には苦戦しています。
過活動膀胱の症状を楽にしようとすると、今度は残尿が増えて膀胱炎になり、また頻尿と残尿感で困る・・・これの繰り返し。
自己導尿を検討したいけれど、高齢ということもあり、なかなか話が進みません。

「ウロの薬」は、安易に他科でも処方されがち。
だからこそ、症状に対する私達看護師の観察が必要になるのです。



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