腹部エコーでも、食止め不要!?

腹部

検査の目的・方法を知らなければ、説明できない

検査には食止めが付きものです。
とくに消化器関係の検査では、絶食の上で来院して検査を受けることが多いですね。

外来において、次回検査がありますという場合、帰る前に患者さんへ検査説明をします。
その際、患者さんは診察室では聞きにくかったいろいろな質問をしてきます。

検査説明、患者さんはこれが聞きたい

どんな検査か
何の目的で行うのか
その検査で、何がわかるのか
何時に来院するのか
何時頃に帰宅できるのか
結果はいつ出るのか
食事は何時から止めておくのか
当日の薬は飲んでいいのか
検査の費用はいくらくらいかかるのか
痛みは伴うのか

こういった質問に答えるのが、看護師の役目。
診察室で全てに答えていたら、次の人を診察できませんからね。
別室へ案内して、予約をとりつつ検査についての質問に答えるわけです。

この中で、検査の費用については、事務方に確認すれば済むことです。
これは、私達看護師の知るところではないので、専門家に聞きましょう。

では、他の質問については?
私達が答えて、必要な説明をして患者さんにはお帰りいただくことになります。
その際に大切なことは、情報収集。

定期受診で来たのに、なぜ次回検査する話になったのか?
検査の目的については、カルテの記録を読めばわかることがほとんど。
わからないときには、検査オーダーのコメントを見るとわかったりします。
例えば、半年に1回ごと胸部CTで陰影を追っているとか。

これらを読んでもどうしてもわからなかった場合は、診察についていたスタッフ(看護師orクラーク)に確認します。
意外に、本人が一番知っていたりするので・・・そういう時は、「どのように先生から聞いてらっしゃいますか?」と素直に聞いてしまうのも手です。

どうして検査の目的を把握しておく必要があるのでしょうか?
それは、目的がわからなければ正しい検査の説明ができず、患者さんからの質問にも答えられないからです。

例えば腹エコーと指示が出た場合。
まあ、大抵の場合は食事抜きで来院ですね。
しかし、食事は摂っていいけれど、それよりもトイレに行ってきては困る、ということもあるのです。

同じ腹エコーなのに、どうしてでしょう?

腹エコーでも食事を摂っていい理由

腹エコーというと、腹部のエコーですね。
でも、腹部の中のどこをエコーでみるのでしょうか?

それは腹部は腹部でも、目的とする臓器によって違うのです。
胃・肝臓・胆嚢・膵臓・小腸・大腸 → 食事不可
腎・膀胱・前立腺         → 食事可
                   排尿を我慢する必要あり

尿検査で潜血が+だったから検査をする場合、これは膀胱癌の精密検査です。
ということは、むしろ排尿後で膀胱がぺっちゃんこの状態よりも、ある程度溜めてみたいので、出がけにトイレに行かないように説明する必要があります。

逆のパターンで、泌尿器からの腹エコーのオーダーであったとしても、目的臓器が胆嚢であったら、食事は不可です。
食事をとると、胆嚢は縮んでしまって見えなくなってしまうから。

こう言った検査の目的(尿潜血+)がわからなければ、何のために受ける検査かわかりません。
もしここで、背部痛の原因を精査するのに胆石を疑っていたとしたら・・・?

食事を摂ってきてはいけないのに、泌尿器医師からのオーダーだからと「食事は摂って来ていいですよ。その代り、おしっこを溜めて来てくださいね。」
と説明してしまったら、どうなるでしょう?

予定の日にせっかく来院したのに、エコーができなくなってしまいますね。
最悪、エコー室で検査を開始してから絶食で来ていないことがわかる・・・なんてことになりかねません。

患者さんだって暇ではありません。
わざわざ時間を作って来てもらうのに、「食事をしてきたから今日はできません」では頭に来てしまいますよね。

まあ、説明しておいても忘れてしまう患者さんはよくいますけれど・・・。
看護師が「食べて来ていい」と言ったのだとしたら、それは問題ですよね。

私の職場でも、目的と検査したい対象臓器を確認せずに、検査説明をしている人がいました。
腹エコーの予約をとって説明してくださいとまわってくると、全て食事抜きで来院するように言うのです。

食べないで来ていれば、確かにできないことはありませんね。
でも、自宅を出るときに排尿してきてしまっていたら?
描出不良で、しっかり検査できません。

水分をとって、また尿の作られるのを待って、更にエコーの空きを待って・・・なんてしていたら、せっかく予約をとった意味がなくなってしまいます。

また、検査だからといって全ての薬を止めなくてはいけないわけではありませんね。
腹エコーくらいなら、朝食分の内服薬を止める必要はほとんどの場合、ありません。
しかし、絶食にしているのにDMの薬を飲んでしまっては低血糖発作を起してしまいますから、これは内服中止にしなくてはいけません。

私達看護師は、ただ「エコーの予約ね」だけで進めてはいけません。
しっかり目的と、対象を把握すること。
普段内服している薬は、どういう対応をしたらよいのか考えること。
これが必要です。

そうでないと、上に挙げたような患者さんからの質問に答えられなくなってしまいます。
何か質問されるたびに誰かに聞く・医師に確認しなくては答えられないというのでは、看護師としては困りますね。

たかが検査説明。
されど検査説明です。
ここで、患者さんのことを理解した上で、病態生理と結び付けて説明ができるかが、看護師に求められるスキルなのです。

あなたは漠然と、検査の説明をしていませんか?